宮城県司法書士会
特に本件については,旧αにおいて,
同町が定めていた形式による告示(役場掲示場への掲示)こそ行われなかっ
たものの,実質的にはより周知の効果があるものと思われる,行政連絡員を
通じての広報紙の全戸配布を行っており,本件在任特例協議の内容を住民に
周知させたことは前記認定のとおりである。
したがって,旧αにおいて,本件在任特例協議の内容がα公告式条例に基
づいて旧α役場の掲示場に掲示するという正規の方法に従って告示されてい
なかったとしても,その一事をもって本件在任特例協議に重大な手続的瑕疵
があるとはいえないと解するのが相当である。
以上の次第であるから,本件在任特例協議は,旧αにおいて法定の告示を
欠いているという瑕疵があるものの,なお有効であるものというべきである。
(4) 控訴人らの主張について
ア控訴人らは,地方自治法91条9項の規定との対比から,在任特例にお
いて要求される告示もまた,在任特例協議の効力発生要件である旨を主張
する。
しかしながら,在任特例は,合併により廃止されることになる合併関係
市町村の議員につき一時的に議員としての資格を付与するものであって,
専ら議員の定数に係る規定である地方自治法91条の特例とみることはで
きない。
控訴人らの上記主張は採用することができない。
イまた,控訴人らは,議員定数特例の規定との対比から,在任特例協議に
おいて要求される告示もまた,効力発生要件である旨を主張する。
しかしながら,旧合併特例法6条8項の告示が議員定数特例協議や在任
特例協議の効力発生要件であるといえず,告示を欠いた在任特例協議に重
大な手続的瑕疵があるといえないことは前記のとおりである。
控訴人らの
上記主張は,採用することができない。
ウさらに,控訴人らは,在任特例協議は,合併関係市町村の住民から設置
選挙の機会を奪い,また,議員定数に関わり又は議員の任期を変更するも
のであるから,条例の公布と同様に,在任特例協議において求められる告
示(旧合併特例法7条4項,6条8項)も効力発生要件である旨を主張す
る。
確かに,在任特例協議は,合併時に失うべき議員の地位を存続させ,ま
た,地方自治法91条2項が定める上限を超える議員を議員として在任さ
せ得ることになるから,選挙に関係するといえなくはなく,そうであれば,
定数条例と等しい扱いを求められるべきとの議論もあり得ないではない。
しかしながら,期間の問題にしろ,定数の問題にしろ,旧合併特例法が一
時的な例外的措置として許容したものであり,議会の議決を経て協議が成
立した以上,何人も選挙の機会が奪われたとして在任特例協議について異
議を述べることはできないし,かように議会の議決内容に住民が不服を申
し立てられないことは何も在任特例協議に限ったことではない。
合併後最
初に行われる選挙の時期は在任特例協議の内容により左右されざるを得な
いものの,その選挙そのものは在任特例協議に基づいてされるものではな
い。
そうであるとすると,在任特例協議が選挙に関係しているとしても,そ
の内容が選挙権にかかわるとの点をもって直ちにこれを条例と同旨するこ
とはできず,在任特例協議の告示をもってその効力発生要件であるとみる
ことはできない。
控訴人らの上記主張はいずれも採用することができない。