エ控訴人らは,法定の告示を欠いた本件議員定数協議が無効であれば,こ れを前提とする本件在任特例協議も無効である旨を主張する。
確かに,旧合併特例法7条1項柱書は,在任特例を適用した場合の議員 の定数について,「地方自治法第91条の規定による定数を超えるときは, 同条の規定にかかわらず,当該数をもって当該合併市町村の議会の議員の 定数とし,議員に欠員が生じ,又は議員がすべてなくなったときは,これ に応じて,その定数は,同条の規定による定数に至るまで減少するものと する。」と規定しており,旧合併特例法6条1項が議員定数特例について 「新たに設置された合併市町村にあっては,地方自治法第91条第2項の 規定にかかわらず,合併関係市町村の協議により,市町村の合併後最初に 行われる選挙により選出される議会の議員の任期に相当する期間に限り, 同項に規定する数の2倍に相当する数を超えない範囲でその議会の議員の 定数を定めることができる。ただし,議員がすべてなくなったときは,そ の定数は,同条の規定による定数に復帰するものとする。」と定めている ことからすれば,旧合併特例法7条1項柱書にいう「地方自治法第91条 の規定による定数」とは,地方自治法91条7項に基づいて定められた議 員定数を指すものと解され,これは,本件では,本件議員定数協議により 定められた議員定数のことにほかならず,仮に本件議員定数協議が無効で あれば,本件在任特例協議により議員となった者に欠員が生じたときに減 少すべき議員定数の下限が分からないという問題が生ずる余地はある。
しかしながら,在任特例は,現に議員である者を合併後も一時的に引き 続き議員として在任させる特例措置であり,仮に議員定数協議に重大な瑕 疵があり,合併市町村において議員定数条例がないに等しい事態が発生し たとすれば,在任特例協議に基づき引き続き議員の地位を有する議員で構 成される合併市町村の議会において新たに議員定数条例を制定すれば足り るのであって,議員定数協議と在任特例協議とを必ずしも連動させて考え なければならないものではないから,仮に本件議員定数協議が無効である としても,本件在任特例協議が直ちに無効となる関係にあるとはいえない。
控訴人らの上記主張は採用することができない。
なお,前記認定のとおり,青森市の市議会は,同市議会の議員定数を4 6名とする青森市議会議員定数条例を制定し,平成17年12月20日, これを公布の上,施行しており,本件議員定数協議は既に失効しており, 仮に本件議員定数協議が無効であるとしても,青森市議会における議員定 数に係る瑕疵は既に治癒されている。
3 不当利得の成否について
以上の次第であるから,本件在任特例協議は無効とはいえず,被請求者らは 有効な本件在任特例協議に基づいて新たに成立した青森市議会議員としての身 分を有しているものというべきであるから,被請求者らによる議員報酬等の受 給は法律上の原因に基づくものである。
そうすると,被請求者らは,議員報酬等の既受領分について不当利得返還債 務を負わず,また,被請求者らのうち議員報酬等受給中の者は,将来分につい ても議員報酬等の請求権を失わない。
控訴人らの本件請求は,いずれも理由がないというべきである。
4 結論
したがって,控訴人らの本件請求をいずれも棄却した原判決は相当であり, 当審における訴え変更に係る控訴人らの請求もいずれも理由がない。
よって,主文のとおり判決する。

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